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15年前と今、介護職の給与はどう変わったのか。

5 時間前
読了時間: 6分

二つの時代を比較するために、実在する職員をモデルに、実際の状況と大きく変わらない条件でシミュレーションしてみたいと思います。細かな設定に多少の違いはありますが、決して現実とかけ離れた話ではありません。

まずは、平成23年、今から15年前のX君の給与です。

当時はヘルパー2級の資格を持ち、基本給15万円。夜勤を月4回行って2万円、交付金手当が3,000円。交通費2,000円で住宅手当はなく、今では考えにくいことですが、いわゆるサービス残業も当たり前のように存在していた時代でした。

当時の月額給与は175,000円です。

その後、X君は介護福祉士の資格を取得し、15年間勤続してきました。今では現場のリーダーとして、日々頑張ってくれています。

では、現在のI君の給与はどうなっているでしょうか。

15年間の勤務の中で、5年ごとの特別昇給などを重ね、基本給は215,000円。経験調整手当が加わり、夜勤は月5回で30,000円、処遇改善手当が31,500円。さらに、平均月10時間の時間外勤務を想定すると約18,000円。これに住宅手当、結婚して子供が二人いることによる家族手当が加わります。

その結果、現在の月額給与は約330,000円になります。

もちろん、X君自身が資格を取得し、15年間努力を積み重ねてきたことが大きな要因です。また、家族手当など、家族構成による違いもあります。単純に誰もが同じ給与になるという話ではありません。

しかし、15年間で月額給与が約15万円増えたという事実は、介護業界の賃金水準が大きく変わってきたことを示していると思います。

賞与についても変化がありました。15年前は年間で基本給の約2.5か月分でしたが、ここ数年は平均して約3.5か月分となっています。これらを踏まえると、X君の年収は15年前と比較して約200万円増加した計算になります。

スタート時点では決して高いとは言えなかった給与も、資格取得や経験、役職、そして制度の改善によって、着実に上がってきたのです。


ここで、残業についても触れておきたいと思います。

さわの森は残業がないとは言いません。どこの施設であっても、残業が発生することはあります。

例えば、施設で定める配置基準を満たせない場合には、必然的に時間外勤務が発生します。いわゆる「二人勤務」となった場合には、早番や遅番の職員に時間外勤務をお願いしなければならないこともあります。

体調不良による急な欠勤、家庭の事情、退職者が出た場合など、その月の状況によって残業時間や残業代は大きく変わります。

大切なのは、残業をゼロに見せることではありません。業務上必要な正当な時間外勤務に対して、必ず適正な残業代を支払うことです。

15年前にはサービス残業が当たり前のように存在していました。今はそうした働き方を見直し、職員が働いた時間に対して正当な対価を支払うことが当然の時代になっています。


介護職は、その昔「3K」と言われてきました。しかし、給与や労働環境は確実に改善されてきたと言えるのではないだろうか。

やみくもに国の政治を批判する声もありますが、介護業界の処遇改善は、これまで国主導でさまざまな形で進められてきました。もちろん、まだ十分とは言えません。私自身、介護報酬をもっと思い切って引き上げてほしいという思いはあります。

それでも、介護職員の賃金水準や社会的な評価が以前と比べて上がってきたことは事実です。

そして、この変化は国の政策だけで実現したものではありません。

社会福祉法人森田記念会としても、平成25年、26年頃の基本給改革をはじめ、処遇改善金の拠出、介護職だけでなく全職種の給与体系の見直しなど、職員間のバランスを考えながら改善を重ねてきました。

処遇改善手当については、事業所によって支給方法が異なります。毎月の給与に反映させる方法もあれば、賞与に上乗せする方法、年に一度まとめて支給する方法など、制度上認められた範囲でさまざまな形があります。

事業所の経営面だけを考えれば、年間の決算が確定してから支給額を決める方が都合がよい場合もあります。しかし、私は毎月の給与に反映させることを大切にしてきました。

例えば、コロナ禍では入院や逝去される方が多く、入居とショートステイを合わせた稼働率が80%を下回る月もありました。当然、デイサービスも同様に厳しい状況でした。

それでも、私は稼働率99%を想定した処遇改善手当を毎月の給与に振り分けてきました。

なぜなら、年に一度の支給に重きを置けば、支給前に退職した職員が受け取れなくなる可能性がありますし、何より毎月の生活に必要な給与として職員に還元したいという思いがあったからです。

もちろん、毎月支給する以上、稼働率が下がれば法人側がそのリスクを負うことになります。それでも、職員の生活を考えれば、毎月安定して給与に反映させることに意味があると考えてきました。

こうした取り組みは、森田記念会の経営努力なしには語れません。


超高齢社会を迎え、介護を必要とする方は年々増えています。

一方で、団塊の世代はすでに現役を退き、私のような団塊ジュニア世代も50歳前後になりました。その下の世代は人口が徐々に少なくなり、今や出生数は年間60万人台という時代です。

介護を必要とする人が増える一方で、それを支える人材は減っていく。この構造的な課題は、これからますます深刻になっていきます。

だからこそ、介護従事者の需要は非常に高まっています。介護士は、これからの社会に絶対に欠かすことのできない存在です。世の中から必要とされている仕事なのです。

だからこそ、国も本気になって介護職員の処遇改善や人材確保に取り組んでいます。そして、介護に携わる皆さんにも、自分たちの仕事にもっと誇りを持ってほしいと思います。

世の中ではICTの活用や業務の効率化が急速に進んでいます。介護の現場でも、記録や情報共有、見守りなど、効率化できる部分は積極的に進めていかなければなりません。

ただし、効率化すること自体が目的になってはいけません。

介護は、あくまでも人と人との関わりの中にある仕事です。心の通ったコミュニケーションを大切にしなければなりません。

ICTや業務改善によって生まれた時間を、利用者様との会話や普段なかなかできなかった関わり、ちょっとした気遣いや個別のケアに使ってほしいと思います。

効率化によって時間を生み出し、その時間を人に向き合うために使う。それこそが、これからの介護のあるべき姿ではないだろうか。


2040年問題は、決して遠い未来の話ではありません。

これから介護を取り巻く環境は、さらに厳しくなっていくでしょう。人材不足、物価高騰、社会保障費の増大など、課題は山積みです。

しかし、どんな時代になっても、介護を必要とする人がいる限り、私たちの仕事がなくなることはありません。

想像してください。2040年、森田理事長は92歳になり、これまでプロスペクトで過ごされていましたが、このたび、さわの森に入所されました。

これまで法人を築き、支えてこられた理事長も、今度は私たちが介護をさせていただく立場になります。

さあ、みんなで理事長の介護をしようじゃないか。

介護の仕事は、誰かの人生を支える仕事です。そして、いつかは自分自身も誰かに支えてもらう日が来るかもしれません。


15年前と比べれば、給与も待遇も大きく変わりました。これから先も、介護職が社会から正当に評価され、誇りを持って働ける職業であり続けるよう、法人としても努力を続けていきたいと思います。

職員の皆さん、自分たちの仕事に誇りを持ってください。

私たちの仕事は、これからの社会に必要不可欠な仕事なのだから。

 

 
 
 

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