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心の矢印を利用者様にむける

19 時間前
読了時間: 4分

先日、ユニットケア研修に参加した職員から、研修報告がありました。

私自身、ユニットケアとは、一人ひとりの利用者様に対する個別ケアを、在宅での暮らしからユニット型施設へ移っても継続できるように発展させたケアだと考えています。

今回の研修報告の中で、特に印象に残った言葉がありました。


「心の矢印が利用者様に向かっているかが大切。」


この言葉は、私たちが日々の支援を振り返る上で、とても大切な視点だと思います。

現場では、夜勤者が来る前に利用者様を寝かせる、早番者が来る前に夜勤者が利用者様を起こす、食事を早く出して早く終わらせるなど、起床や就寝だけではなく、利用者様よりも職員の都合を優先してしまう支援が、時折見受けられることがあります。

もちろん、そこには人員配置や勤務時間、業務量など、さまざまな事情があります。

11年前、サテライトを立ち上げた際には、リーダーやベテラン職員、希望者を募り、職員の約半数が異動しました。その一方で、本体施設では介護未経験の職員を多く採用することになり、現場の経験値やケアの質が一時的に下がった時期もありました。

平成29年、30年頃には退職者も多く、人手不足から秋祭りを開催できなかった年もありました。

「人がいない中でできる介護」「最低限の支援」

そうしたことを考えざるを得ない時期があり、一つのユニットを一時的に閉鎖したこともありました。

そして、その後にはコロナ禍も経験しました。

決して平坦な20年ではありませんでした。

それでも、さわの森は今月、開設20周年を迎えることができました。

開設当初から現在まで働き続けてくれている職員もたくさんいます。

その方々が、ユニットケアや個別ケアの考え方を大切にし、次の世代へ継承し続けてくれたからこそ、今のさわの森があるのだと思います。

改めて、本当に感謝しています。

一方で、この20年の間に、利用者様を取り巻く環境も大きく変わりました。

現場からは、

「利用者像が変わった」「認知症の方がほとんどになった」「指示が入りにくい」「介護度が上がり、痰吸引などの医療的ケアが増えた」「転倒・転落が多い」

といった声も聞かれます。

どれも現場から見れば事実です。

30年以上前に提唱された個別ケアの考え方の中には、利用者様と一緒に調理をしたり、台所を囲んだりしながら生活するような姿がイメージされています。

しかし現在、平均介護度が4以上となるユニットでは、車いすを利用されている方や、ベッド上で過ごす時間の長い方も多く、当時と現在では利用者像そのものが大きく変わっています。

だからこそ、私たちは考えなければならないのだと思います。

「利用者様の状態が重くなったから、個別ケアは難しい。」

そう考えてしまえば、それは簡単な言い訳になってしまいます。

利用者様の状態が変わったのであれば、私たちのケアの方法も変えていかなければなりません。

どのような状態の方であっても、その人らしい生活とは何なのか。何を望んでいるのか。何を大切にしてきた方なのか。

そして、今の私たちの支援は、本当に利用者様のためになっているのか。

そのことを考えるときに、今回の研修で出てきた、

「心の矢印が利用者様に向かっているか。」

という言葉が、大きな意味を持つのだと思います。

私は、自分自身が将来、「さわの森に入りたい」と胸を張って言える施設でありたいと思っています。

かつては「2025年問題」として、団塊の世代が75歳以上となり、介護や医療の需要が大きくなることが語られていました。

そして今、高齢者福祉を取り巻く環境は、2040年を見据えた課題へと移っています。

2040年に向けて、介護を必要とする高齢者が増える一方、介護を支える人材の確保はますます重要な課題になります。

医療と介護の連携、訪問診療、地域包括ケアなど、施設だけで完結しない支援も、これまで以上に重要になっていくでしょう。

私も施設長になってから、待遇改善や福利厚生、休暇制度、組織風土の見直しなどに取り組んできました。

これからは、それに加えて、人材確保と労働環境の整備をさらに進めていきたいと思っています。

介護の仕事は、大変なこともたくさんあります。

しかし、それ以上に、人の人生に寄り添うことができる仕事です。

利用者様の笑顔に励まされることもあります。「ありがとう」という一言に救われることもあります。職員同士で支え合い、一つのことを成し遂げたときに、大きな喜びを感じることもあります。

そんな介護の楽しさや喜び、やりがいを、職員一人ひとりが感じることのできる職場にしていきたいと思います。

さわの森は20周年を迎えました。

これまでの20年を大切にしながら、次の30年へ向かっていきます。

利用者様の状態が変わっても時代が変わっても介護を取り巻く環境が変わっても

私たちが忘れてはいけないことは、

「心の矢印を利用者様に向ける。」

ということなのだと思います。

これからも、職員みんなでこの言葉を大切にしながら、さわの森らしいケアをつくっていきましょう。

みんな集中して聴いています
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